FAXやスキャンのPDFをAI-OCRでkintoneに取り込む方法は、目的によって2つに分かれます。帳票の値をkintoneのフィールドに入れたいのか、PDFの中身を検索できるようにしたいのか。目的が違えば、選ぶ仕組みも変わります。
この記事では、2つの方法の構成と選び方を、当社の「DataSyncer® for kintone(データシンカー®)」での実現方法とあわせてまとめました。
kintoneにPDFを登録するときの課題
kintoneの添付ファイルフィールドにFAXやスキャンのPDFをアップロードすると、関連データとPDFファイルをkintone上で一元管理できます。
ただし、この方法では「PDF内の文字列を読むことができない」という課題が残ります。
通常、スキャンやFAXのPDFファイルは、中身が画像として埋め込まれています。そのため、PDF内の文字列を検索したり、値をフィールドで集計したりといったデータ活用ができません。

画像の文字をテキストデータに変換する技術がOCRです。手書きやかすれた文字も読み取れるよう、AIを組み合わせたものを「AI-OCR」と呼びます。
AI-OCRでkintoneに入れるものは2つ
AI-OCR連携を検討するとき、最初に決めたいのは「kintoneに何を入れたいか」です。
方法1:帳票の項目をフィールドへ入力する
やりたいこと:帳票の値をkintoneのフィールドに入れて、集計・絞り込み・ワークフローに使いたい
kintoneに入るもの:各フィールドとサブテーブルの値
向いている書類:注文書、請求書、納品書、アンケートなど項目が決まった帳票
構成:DataSyncer® AI-OCR to kintone
方法2:PDFを全文テキスト化する
やりたいこと:PDFの中身をkintoneで検索・閲覧したい
kintoneに入るもの:テキスト付きのPDFと、その本文テキスト
向いている書類:契約書、報告書、議事録など様式が定まらない書類
構成:前処理のAI-OCR(スマートOCR)+ DataSyncer® PDF to kintone
どちらか一方を選ぶものではありません。書類の種類ごとに使い分けることもできます。
方法1:帳票の項目をkintoneのフィールドへ入力する
注文書や請求書のように「どこに何が書いてあるか」が決まっている帳票は、全文テキストではなく項目単位でkintoneに入れたほうが業務に使えます。金額で集計する、支払期日で絞り込む、明細を行ごとに見る、といった使い方ができるためです。
この用途に向けて、当社は2026年7月15日にデータシンカーのAI-OCRライセンス「DataSyncer AI-OCR to kintone」の提供を開始しました。kintoneのレコードにPDFを添付すると、AIが帳票を読み取り、該当するフィールドへ自動で入力します。

kintoneアプリの設計が、そのまま読み取り設定になる
通常、テンプレート型のOCRは、帳票のレイアウトごとに読取位置をあらかじめ定義します。取引先や様式が増えるほど、定義とメンテナンスの手間も増えます。
データシンカーの場合、AIがkintoneアプリのフィールド構成(フィールド名・型・選択肢・サブテーブル)を参照し、PDF内の値を最適なフィールドへ振り分けます。帳票テンプレートの事前定義もマッピング設定も不要です。
「注文番号」「オーダーNo」「発注No」のような表記の揺れも、AIが自動判定して同じフィールドへ入力します。取引先ごとに様式が違う注文書でも、1つのアプリで受けられるのが特長です。
明細はサブテーブルへ行単位で展開
データシンカーでは、請求書の明細行や納品書の品目行のような表を、kintoneのサブテーブルへ行単位で展開します。複数ページにまたがる明細も、1つのサブテーブルにまとめて登録できます。
CSVファイルの出力やインポートを挟まないため、PDFの添付からレコード登録までが自動で進みます。
帳票のレイアウト別に、kintoneのどこへどう登録されるかは 帳票レイアウト別に見る、AI-OCRのkintone登録パターン でご確認いただけます。
埋まっている値は原本どおり
データシンカーでは、読み取りの信頼度が低い項目を推測で埋めず、空欄のまま残します。入力された値は原本どおりで、担当者が確認するのは空欄の箇所に絞られます。
空欄の項目を担当者がkintone上で修正すると、その内容がラーニングデータとして保存され、次回以降の同種帳票の読み取りに反映されます。使うほど読み取りの精度が上がります。
ラーニングデータは、お客様専用スペースの設定アプリに暗号化して保存されます。帳票データもラーニングデータも、AIモデル自体の学習には利用されません。
添付作業も自動化できる
PDFをレコードに添付する作業も自動化できます。
複合機やスキャナーの監視フォルダから取り込む「PDF統合モード」、メールに添付されたPDFを取り込む「メール統合モード」を使うと、FAX受信や複合機スキャンからkintoneへの登録・AIの入力までがつながります。
※ 統合モードのご利用には、別途「DataSyncer PDF to kintone」または「DataSyncer® メール to kintone」のライセンスが必要です。
料金
月額1万円から(年間5,000ページ込み)ご利用いただけます。詳しくは DataSyncer AI-OCR to kintone の機能ページ をご覧ください。
方法2:様式の定まらない書類は全文テキスト化
契約書や報告書のように、書類ごとに書き方が違い、項目に分けにくい書類もあります。このような書類は、PDFにテキストを埋め込んでからkintoneへ登録し、「探せる」状態にする方法が向いています。
株式会社インフォディオが提供する「スマートOCR」は、Windows上のフォルダにあるPDFファイルを自動でOCR処理し、テキスト付きのPDFを出力できるAI-OCRサービスです。
このPDFをデータシンカーの「DataSyncer PDF to kintone」で取り込むと、フォルダに置いたPDFがkintoneのレコードに自動で登録されます。PDFの全文テキストもフィールドに登録されるため、kintone標準の検索で中身を探せます。

すでにWindows上のフォルダにPDFが集まる運用がある場合、その運用を変えずに乗せられる構成です。
どちらを選ぶか
判断の軸は2つです。
kintoneで何をしたいか:集計・絞り込み・ワークフローに使うなら方法1。検索・閲覧できれば十分なら方法2。
書類の様式が決まっているか:項目が決まっている帳票は方法1。様式がまちまちで項目を定義しにくい書類は方法2。
注文書や請求書は方法1、契約書は方法2、というように書類ごとに分けて使えます。
活用イメージ
請求書の処理(方法1):データシンカーでは、請求番号・日付・金額・支払期日をAIが各フィールドへ入力し、明細行をサブテーブルへ展開します。入力後はkintoneのプロセス管理で、支払処理の承認フローへつなげられます。
問い合わせ票・アンケートのデジタル化(方法1):手書きの問い合わせ票やアンケートも、丸囲みやチェックを含めてkintoneのフィールドへ入力できます。選択肢はラジオボタンやチェックボックスに入るため、kintone上でそのまま集計できます。
契約書の管理(方法2):紙で保管している契約書は、全文テキスト化してkintoneに登録すると検索できるようになります。取引先ごとに様式が異なる契約書は、まず「探せる」状態にするところから始めると効果が出やすくなります。
まとめ
AI-OCRとkintoneの連携は、「帳票を項目としてデータ化する」か「PDFを探せるようにする」かで構成が変わります。
項目が決まった帳票は「DataSyncer AI-OCR to kintone」、様式の定まらない書類はスマートOCRと「DataSyncer PDF to kintone」の組み合わせが向いています。手元の書類がどちらに当てはまるかを先に決めると、検討がぶれません。
お手元の帳票がkintoneにどう入るかは、15日間の無料トライアルでご確認いただけます。
DataSyncer AI-OCR to kintone:kintoneに添付したPDFの項目を、各フィールドとサブテーブルへ自動入力
DataSyncer PDF to kintone:Windows上のフォルダに置いたPDFファイルを、kintoneへ自動登録
スマートOCR:Windows上のPDFファイルをAI-OCRでテキストデータ化
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