CASE STUDY
メール to kintone複合機・FAX・スキャナー
kintoneを「紙→データ」変換の基盤に — 創業300年の香老舗、自社主導のDX
kintoneを「紙→データ」変換の基盤に — 創業300年の香老舗、自社主導のDX

株式会社松栄堂
- 業種
- 薫香(お香)製造販売
- ご担当者
- 管理部/総務部 執行役員 大江 様
- 公開日
- 2026/8/20
創業約300年、京都の香老舗・松栄堂。
百貨店の売り場やFAXなど、さまざまな経路で届く紙の注文書をkintoneでデータ化。
その入り口をデータシンカー®が担い基幹システムへの出力まで自社主導のDXを実現しています。
創業は今から300年ほど前。京都・烏丸二条に本社を構え、宗教用の薫香から茶の湯の香木・練香、お線香、インセンス、匂い袋まで「香百般」を手がける香老舗、株式会社松栄堂。京都・大阪・東京・横浜・札幌に直営店を展開し、香文化の担い手として今日まで香づくり一筋に歩んできました。

その松栄堂は、kintone を「紙をデータに変える基盤」として活用しています。その入り口を担うのが「DataSyncer® メール to kintone(データシンカー®)」です。
取材では、さまざまな経路で届く紙の注文書を kintone でデータ化するに至った経緯と、その先に築かれた自社主導のデータ活用についてお伺いしました。
300年の香づくりと、変わりゆく注文の受け方
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創業約300年(1705年頃)、香文化を担う京都の老舗
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各種薫香(線香・焼香・練香・匂い袋等)の製造販売。京都本社のほか東京・札幌に支店、長岡京に製造拠点
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直営店・百貨店内の売り場を全国に展開
伝統の製法を守る香づくりの一方で、注文の受け方は多様です。百貨店の売り場からは日々の注文書が上がってきます。取引先からは今も FAX での注文が届きます。紙を無くすという選択肢もある中で、松栄堂が優先したのは現場の運用でした。
大江様:
「紙を無くすことも検討しました。ただ、タブレットなどにすると、接客への時間が削がれる懸念がありました。紙は紙のまま活かして、受け取ったあとの流れをデータにする。そう考えて仕組みを作ってきました。」
課題:売り場から FAX 回線がなくなった — 紙を無くすか、現場の運用か
きっかけは、百貨店の売り場から FAX 回線が撤去されたことでした。それまで売り場からの注文は FAX で本社に届いていましたが、その手段が使えなくなったのです。
タブレット端末などに切り替えて、紙そのものを無くすことも検討しました。しかし最終的に優先したのは、売り場の現場の運用でした。
大江様:
「売り場での接客の水準を保つことを優先しました。注文書は今までどおり紙で書く。その上で、送る手段だけを新しくする。スキャナーなら、送信先を選んでスキャンするだけですから、接客の時間を削ぎません。」
一方、取引先からの注文は今も FAX で届きます。その数、1日に40件ほど。月に換算すれば約800件です。いずれの経路も、紙のままでは受注処理につなぐために転記や手作業が必要になります。
紙の運用は変えずに、注文書を一箇所に集めてデータとして扱える基盤を作ること。それが仕組みづくりの出発点でした。
解決策:kintone を「紙 → データ」変換のデータ基盤に
その基盤として松栄堂が選んだのが kintone でした。仕組みの全体像はシンプルです。
1. 入り口: 各経路の紙をメールに揃え、「DataSyncer® メール to kintone」で kintone へ自動登録
2. 変換: kintone 上で AI-OCR 処理を自動実行し、紙の注文書をデータ化
3. 出口: kintone のデータを API で取得し、受注管理システムへ
どんな経路で届く紙も、「メールで送る」という共通の入り口に揃えてしまえば、あとは kintone の上でデータに変わっていく。この構成が、松栄堂のデータ活用の核になっています。
ルート1:売り場の注文書は、スキャナーのボタンひとつで
百貨店の売り場には 小型のスキャナーを設置。スタッフは宛先をボタンで選んで、注文書をスキャンするだけです。スキャナーに登録されたメールアドレスへ自動でメールが飛び、データシンカーが受信したメールを解析して、添付の注文書とともに kintone へ自動登録します。

FAX 回線がなくなっても、売り場の動きは「書いた注文書を送る」だけ。それだけで kintone にレコードが登録されます。接客の水準を保つという判断と、データ化の両方を成り立たせる運用です。
ルート2:FAX は複合機から PDF 化し、基幹システム経由でメール
取引先からの FAX は本社の複合機で受信すると、PDF として FTP で保管され、基幹システムに登録されます。そこから必要な受注 PDF をメールで転送すれば、こちらも同じくデータシンカー経由で kintone へ登録されます。

1日約40件の FAX が、複合機に届いた時点で PDF となり、そのまま kintone のレコードになっていきます。
大江様:
「メールで送るだけで kintone に入る、というシンプルさが良いところです。売り場でも社内でも、特別な操作を覚える必要がありません。」
変換:kintone 上で AI-OCR 処理を自動化
kintone に登録された注文書は、AI-OCR サービスと組み合わせて読み取り処理まで自動化。紙の注文書が、人手の転記を介さずにデータへ変わる流れができあがっています。kintone は単なる保管場所ではなく、「紙をデータに変換する基盤」として働いています。
データ基盤の出口:受注管理システムへは、自作の API 連携で
そして、この基盤の出口を担うのが、大江様ご自身が開発された連携の仕組みです。kintone に登録されたデータを API 経由で取得し、基幹システムへ流し込む仕組みを独自に構築されています。
大江様:
「kintone にデータが入ってしまえば、あとは API でどうにでもできます。基幹システムへの流し込みは自分たちで作りました。」

紙の注文書が届いてから、スキャンまたは PDF 化 → メール送信 → kintone 登録 → データ化 → 受注管理システムへ、という一本の流れ。入り口をデータシンカーが、変換を kintone が、出口を自作の連携が担う。それぞれの役割が明確な構成です。
導入効果まとめ
「DataSyncer® メール to kintone」の導入により、松栄堂では次の効果が得られています。
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「紙 → データ」変換の基盤化: 売り場の注文書も、1日約40件届く取引先からの FAX も、経路を問わず kintone に集約してデータ化
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売り場の接客水準を維持: 注文書は紙のまま。スキャナーのボタン操作だけで送信でき、売り場に新しい端末操作を求めない
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転記作業の削減: 登録後の読み取り自動化まで含め、紙からデータへの流れから手作業を排除
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データ基盤としての拡張性: kintone 上のデータを API で基幹システムへ連携。自社主導で仕組みを育てられる
紙の注文という商慣行と接客のかたちはそのままに、その先の流れをすべてデータ化する。老舗の現実に即した、地に足のついた DX です。
次のステージへ:読み取り精度のさらなる向上
仕組みは一本の流れとして完成していますが、大江様の視線はすでにその先にあります。テーマは、読み取り精度のさらなる向上です。
注文書には手書きのものもあれば、さまざまなタイプの表形式のものもあります。多様な紙をどこまで正確にデータへ変えられるか。注文書フォーム側の改良と組み合わせながら、読み取りの精度をさらに高めていく考えです。
大江様:
「手書きや表形式など、注文書のかたちは本当にさまざまです。フォームの見直しと合わせて、読み取りの精度をさらに上げていきたいですね。最近リリースされた『DataSyncer® AI-OCR to kintone』も、精度が出るようであれば試してみたいと思っています。」

※本文中に記載された会社名および製品名は、各社の登録商標または商標です。
AFTER THE INTERVIEW
取材を終えて
印象的だったのは、判断の軸が一貫していることでした。FAX 回線の撤去という外部要因に対して、紙を無くすことまで検討した上で、接客の水準——現場の運用を優先して紙を残すと決める。その上で、紙の先の流れは徹底してデータ化し、API 連携の仕組みは執行役員である大江様ご自身が手を動かして作る。守るものと変えるものの線引きが明確で、「伝統を守ること」と「仕組みを新しくすること」が松栄堂の中では自然に両立していました。
FAX や紙の注文がなくならない——多くの企業が抱えるその現実を、「入り口をメールに揃えて kintone に集める」という発想で乗り越えた本事例は、同じ状況にある企業にとってのヒントになるはずです。




