CASE STUDY
CSV to kintone基幹・業務システム
基幹の売上データをkintoneで速報
「経営目線のデータは、ITの専門部署でなくても現場に届けられる」CSVを共通の接点にした分業が、基幹を守るITと、現場に応える経営企画の両方を活かした。


アスベル株式会社
- 業種
- 総合日用品メーカー(プラスチック住関連商品の企画・開発・製造・販売)
- ご担当者
- 経営企画室 目様
- 公開日
- 2026/8/17
約3,000アイテムを展開する総合日用品メーカーのアスベル株式会社。
基幹システム(mcframe)と内製システムのデータをIT部門がサーバーへCSV出力し「DataSyncer® CSV to kintone(データシンカー®)」がkintoneへ自動登録する構成を採用。
日次約5,000件の売上明細を速報用・累計用の2アプリへ数分で登録し、3万件超の取引先マスターも週次で自動洗い替え。
IT部門は基幹システムに集中し、経営企画は現場へのデータ提供に専念——CSVを共通の接点にした分業で、営業がその日の売上・予算達成率を外出先から確認できる体制を実現しました。
アスベル株式会社は、奈良県大和郡山市に本社を置く総合日用品メーカーです。キッチン用品・保存容器・冷水筒・ゴミ箱・バス用品など、プラスチックを主体とする住関連商品を約3,000アイテム展開し、そのすべてが自社オリジナル。1971年の創立以来、「暮らしづくりをお手伝い」を企業理念に、開発・製造・営業・物流が一体となったものづくりを続けています。

そのアスベルが今回採用したのは、「DataSyncer® CSV to kintone(データシンカー®)」です。基幹システム(mcframe)から出力される売上実績やマスターのCSVを kintone へ自動登録し、営業が毎日その日の数字を確認できる仕組みを、経営企画室が主導して実現しました。
取材では、経営企画室の目様に、kintone 導入の経緯から現在の活用、今後の展望までをお伺いしました。
開発から物流まで一体の総合日用品メーカー
- 創立1971年。プラスチック主体の住関連商品を企画・開発から製造・販売まで一貫して手がける
- キッチン・ダイニング・サニタリー・ランチボックスなど約3,000アイテム、全商品が自社オリジナル
- 三重工場・上海工場の生産拠点と、全国の営業所・物流センターを受発注システムで結び、電子発注に対応
- 従業員数600名(グループ連結)
社名の「ASVEL」は "ASCENDING LEVEL"(上昇する水準)の合成語。生活者のニーズを掘り起こす付加価値の高い製品開発と、魅力ある売場づくりの提案を強みとしています。
kintone 活用の歩み:紙があふれていた社内から、4年で90アカウントへ
「技術継承できるか」で選んだ kintone
アスベルが kintone を導入したのは4年前。きっかけは、社内にあふれる紙でした。
目(さがん)様: 「当時は社内に紙があふれていました。情報共有の仕組みをつくろうと、さまざまなローコードツールも試しましたが、kintone が一番簡単に使えました。自分以外のメンバーへの技術継承を見据えても、kintone だという結論になりました」
情報共有化を目的に始まった kintone は、現在4年目で約90アカウントまで広がっています。ツール選定の軸が「自分が使えるか」ではなく「後継者が引き継げるか」だったことが、その後の広がりを支えています。
経営企画がアプリを作り、現場に渡す
アプリづくりを担うのは、IT の専門部署ではなく経営企画室で、業務を横断的に見る立場からアプリを内製しています。
作ったアプリは現場に渡し、日々の運用は現場が担う。経営企画は全体を設計し、管理する——この分担が、アスベルの kintone 活用の基本形になっています。
内製したアプリは、営業関連・営業管理・営業事務・マスター・人事総務の5つに分類され、あわせて40本以上。各種の申請ワークフローや営業週報・予算管理といった営業まわりにとどまらず、出荷訂正や精算書提出などの営業事務、取引先・製品・運送便といったマスター群、さらに社員名簿や人事評価まで広がっています。業務を横断的に見る立場がアプリを設計してきたからこそ、部門をまたいで積み上がった構成です。

課題:帰社しないと、見たい数字にたどり着けない
売上実績のデータは、基幹システム(mcframe)と内製システムの中にありました。営業が数字を確認するには、外出先からとなるとリモートデスクトップアプリによりいくつもの操作を経る必要がありました。
目様: 「以前は、外出から戻ってからでないと、簡単にすばやく見たい数値に行き着けませんでした」
一方、情報システム部門は物流や発注など基幹システムの更改で多忙です。「経営目線のデータを現場に届けたい」という要望のために、基幹側の開発リソースを割いてもらうのは現実的ではありませんでした。
マスターデータにも同じ構図がありました。取引先マスターや商品マスターの kintone への反映は月1回の手動作業。手間とミスの温床であるだけでなく、基幹で登録した商品が kintone に反映されるまで、ルックアップできない期間が生まれていました。
解決策:DataSyncer® CSV to kintoneで「基幹と活用をCSVでつなぐ」
その課題を解決する仕組みとして、経営企画室が採用したのが「DataSyncer® CSV to kintone(データシンカー®)」でした。
CSVという共通の接点——ITは基幹に集中し、経営企画は活用に専念
仕組みはシンプルです。IT 部門は基幹システムと内製システムのデータを集約し、サーバーに CSV を出力するところまでを受け持ちます。そこから先は、サーバーに常駐するデータシンカーが CSV を検知し、kintone へ自動登録。サーバーは毎日深夜0時に再起動し、スタートアップでデータシンカーが自動起動する運用です。
データシンカーが稼働するのは、IT 部門が管理する共有の Windows サーバーです。専用サーバーを立てる必要はなく、リソースを専有せずに安定稼働できる——この身軽さも、IT 部門に受け入れられやすいポイントでした。

CSV を共通の接点にしたこの分業が、本事例の核心です。IT 部門は基幹システムの更改という本来のミッションに集中でき、経営企画は基幹に手を入れることなく、経営目線のデータを自分たちの判断とスピードで現場に届けられる。
どちらかに負担を寄せる線引きではなく、双方の強みを活かす役割分担が成立しました。
BIではなく、「簡単に数字が確認できる」仕組み
数字の流れはこうです。毎営業日の夕方、基幹側から当日分の売上明細 CSV が出力されると、データシンカーが検知して数分で kintone へ自動登録。件数は1日あたりおよそ5,000件。基幹の日次分だけでなく、上海拠点分や EC 経由の売上といったチャネル別の CSV も、同じ投入フォルダに置くだけで同様に取り込まれます。同じ CSV から速報用・累計用の2つのアプリへ登録する構成で、日々の速報と月次の集計を両立させています。
売上明細のCSVデータには、それ単独で一意になるキー項目がありませんでした。そこで、データシンカーの列結合機能を使い、日付・受注番号・伝票番号を連結した識別子を生成。キー値が存在しないCSVデータでも重複なく登録できるよう、設定だけで実現しています。

kintone に入った売上データは、krewData・krewSheet と組み合わせて現場に展開しています。高価な BI ツールのような高機能は求めず、「簡単に数字が確認できる」ことを優先した設計です。
営業は外出先からでも、その日の夕方には当日の売上状況や予算達成率を確認できます。帰社してから操作を重ねていた頃とは、数字との距離が変わりました。
目様: 「営業部門からは『これこれ、これが欲しかった』と言われました。現場にマッチした仕組みになったと感じています」
数字がオープンになったことで、営業部の雰囲気も変わっていきました。売上だけでなく、粗利をより意識した目線が現場に根づき始めています。
マスター連携は月1回の手動から、週1回の自動へ
取引先マスター・商品マスターの連携も自動化しました。月1回の手動作業だった反映は週1回の自動連携になり、手間とミスの温床が解消。基幹で登録した商品が kintone でルックアップできない、という時間差もなくなりました。
規模を示すのが取引直送先マスターです。毎週金曜、基幹から出力された全件の CSV を投入し、約3万4,000件を洗い替え。更新と数件の新規登録を20分足らずで自動処理しています。約5,000件の製品マスターも同じく毎週金曜に自動更新。いずれもキー項目をもとに新規か更新かの判定をデータシンカー側が行うため、運用側が差分を意識する必要はありません。
毎日数字を待つ営業がいるから、サポートと安定稼働がありがたい
目様: 「データシンカーの設定は、すべてが kintone 上でできて、サポートの方とコメントでやり取りできるのがすごく便利です。営業が毎日その日の数値を待っているので、サポートもクイックで、安定稼働していてありがたい。」

データシンカーの設定は kintone アプリとして提供され、質問や相談はその設定レコードのコメント欄でそのままやり取りできます。問い合わせから解決までが kintone の中で完結し、経緯や変更履歴もそのまま記録として残る。IT 専門の部署を持たない体制でも、運用を自分たちの手元に置いておける——経営企画主導の活用を支えるポイントになっています。
導入効果まとめ
「DataSyncer® CSV to kintone(データシンカー®)」の導入により、アスベルでは次の効果が得られています。
- CSVを接点にした分業が成立: IT 部門は基幹システムに集中し、経営企画はデータ活用を自律的に推進。双方の強みを活かす役割分担に
- 外出先からほぼリアルタイムに数字を確認: 売上状況・予算達成率を、帰社を待たずに確認できる体制に
- 営業部の目線が変わった: 数字がオープンになり、売上だけでなく粗利を意識する文化へ
- マスター連携が月1回の手動から週1回の自動へ: 手間とミスの温床を解消し、ルックアップの時間差もなくなった
派手な仕組みではありません。しかし「売上データが見られるのは当たり前」と言える状態を、専任の開発部隊なしに保っていること自体が、この仕組みの価値です。
次のステージへ:非定型のFAX受注に
今後の展望として目様が挙げたのは、FAX 受注のさらなる自動化です。定型フォーマット設定のAI-OCRによる受注 FAX はすでに仕組みに載っており、次のテーマは定型以外の可変型 FAXの取り込みを検討されているとのことです。データシンカーでは、CSVの他にPDFをAI-OCR処理する機能がありますのでそちらにも関心をお寄せいただきました。

※本文中に記載された会社名および製品名は、各社の登録商標または商標です。
AFTER THE INTERVIEW
取材を終えて
取材を通じて印象的だったのは、「何かすごいことをしている」という空気が社内にないことでした。「売上データは見られて当たり前」——目様はそう語ります。数字が現場に届いていることは前提で、議論はその先から始まる。期待の水準が高いからこそ、仕組みに求められるのは、日々変わらず動き続けることです。
その「当たり前」を、基幹を守る IT 部門と、現場に数字を届ける経営企画室とが、CSV を接点に支え合っている。どちらかが頑張りすぎるのではなく、それぞれが本来の役割に集中できる設計の妙が、そこにあります。
システムの専門家を増やすのではなく、業務を横断的に見る立場の人が仕組みをつくり、現場に渡す。基幹と活用の分担に悩む組織にとって、アスベルの「境界線を CSV に引く」という考え方は、ひとつの答えになるはずです。

