CASE STUDY

kintone エクスポートバックアップ

大量の添付ファイルをWindowsへ自動バックアップ

90超のアプリを支える「バックアップ祭り」を一日仕事から30分の自動運転へ

株式会社中川ケミカル

業種
製造卸売業
ご担当者
経営企画室 杉村 様
公開日
2026/6/18

"カッティングシート®"の開発企業・中川ケミカル。全社で90を超えるアプリを kintone で運用するうち、契約書や領収書を含む添付ファイルのバックアップが「覚悟を決めて挑む一日仕事=バックアップ祭り」になっていた。

採用したのは「DataSyncer kintone エクスポート」。CSVはもちろん大量の添付ファイルも一度の起動で共有ディスクへ落とし、丸一日かかっていた作業を30分かからずに終えられるようになった。

一年ぶり、二度目の取材。前回は基幹システムから出力される PDF 請求書を電子配信する取り組み(ERP出力のPDF請求書をkintoneで配信)をお伺いしました。本記事は、その続編にあたるkintoneバックアップの導入事例です。二度目とあって、杉村様は終始リラックスした表情で迎えてくださいました。

全国に装飾用フィルムを展開する中川ケミカル。その社内で、90を超えるkintone アプリを支えているのが、経営企画室の杉村様です。今回お伺いしたのは、アプリが増え続けた先に必ず出てくる宿題——バックアップの話でした。採用されたのは「DataSyncer kintone エクスポート」です。

取材では、kintone 活用の歩み、増え続けるアプリのバックアップという課題、そしてその解決の過程についてお伺いしました。

"カッティングシート®"の開発企業として、業界をリード

中川ケミカルは、装飾用フィルムの企画・販売を全国に展開する製造卸売業です。

  • 1961年に カッティングシート® を開発した、装飾用フィルムのパイオニア("カッティングシート" は同社の登録商標)

  • 以来「切って貼る文化」を広め、いまや空間デザインやサインの分野に欠かせない素材へ

  • 主力は法人向け(屋内装飾・看板材料など)。全国の販売店を経由し、工務店が施工する複雑な流通経路を持つ

本業の忙しさのなかで、間接業務を一つでも軽くしておく意味は大きい——その役割を担うのが杉村様です。本籍は経営企画室。そのうえで社内 IT の相談役として、kintone の導入推進からアプリ制作までを一手に引き受ける、いわば会社を裏から支えるバイプレーヤーです。

kintone を業務の真ん中に——70アカウント・90超アプリの全社活用

中川ケミカルでは、kintone がすでに全社の業務基盤になっています。利用は全社におよび、アカウント数は約70。

杉村様「kintoneを始めとするソフトウェアを管理しながら、PCなどハードウェアも一緒に管理しているので、IT業務が集中することもあります。Windows 10 から切り替わるタイミングなんかは特に大変でした。社内のデバイス台帳もいまは kintone のアプリで管理していますね」

 「一番使うところから」——CRM リプレースで始まった kintone

中川ケミカルの kintone は、取引先管理から始まりました。もともと別の CRM を使っていましたが、当時もっとも使う領域からの置き換えとして kintone を選びます。

杉村様 「もともとサイボウズ Office は入れていたんです。そこからデータベースをいくつか比較して、最終的に kintone に決めました。圧倒的に使いやすくて、リーズナブルで、これなら自分たちでやっていけそう、作りながら育てていけそうだと感じたんです。いまとなっては、本当に良かったなと思います」

「一番使うところから手に入れる」という入り方が、その後の全社展開の起点になりました。

名刺1万件も、基幹データも、kintone の上で

いまでは基幹データも kintone に取り込み、名刺管理も kintone の上で動かしています。その数、約1万件超。

杉村様:「名刺は1万件ほどあります。既存の名刺ソフトと連携させるのではなく、kintone の上で動く形にしたかった。自分の ID とパスワードでログインして使えるのがいいんです」

名刺管理には、kintone 上で動作する名刺管理サービス「pew」を活用しています。既存の名刺ソフトに kintone を合わせるのではなく、kintone を軸に据えたまま名刺データを扱える点が、中川ケミカルの「まずは kintone で」という方針と噛み合っています。

「まずは kintone でどうにかする」文化と、リクエストアプリ

経費申請も kintone のアプリで運用し、コメント欄でのやり取りが定着しています。何かが必要になったら、まずは kintone でどうにかできないか——そう考えるのが、中川ケミカルでは当たり前になりました。

社内からは「こんなアプリが欲しい」という相談も寄せられます。杉村様は、その依頼をリクエスト用のアプリで受け付けています。

杉村様 「アプリの新規作成や仕様変更のリクエストは、専用のアプリで受けています。チャットだと流れてしまいますが、アプリならチケット管理のように扱えて便利なんです。ここでもコメント欄で活発にやり取りしています」

社内アプリそのものを管理する「アプリ管理アプリ」

杉村様に伺った中で印象的なアプリがあります。その名も「アプリ管理アプリ」。社内で動くアプリそのものを管理するためのアプリです。各アプリのバックアップ頻度や最終バックアップ日などを一覧で把握できます。

杉村様「kintone の管理画面にもアプリ一覧はあるんですが、そこには載せきれない情報があるんですね。だったら自分で作ってしまおうと。バックアップの頻度や最終取得日も、このアプリで管理しています」

この「アプリ管理アプリ」が、実はもともとバックアップ管理のために生まれたものでした。そしてそのバックアップこそが、今回の本題です。

課題:使い込むほど重くなる「バックアップ」という宿題

アプリが100近くまでに増えると、避けて通れなくなるのが「バックアップ」です。顧客管理、基幹の売上データ、社内の経費精算——次々とアプリを作り、回していくうちに、杉村様は「これは取っておかないとまずい」と考えるようになりました。

「アプリ管理アプリ」は、もとを正せばこのためのバックアップ管理アプリでした。各アプリに、書き出し用の CSV ダウンロードリンクと、保存先である SharePoint のアップロード先リンクをフィールドで持たせ、レコードとして管理する。仕組みは作りました。けれど、肝心の取得作業は——長らく手作業でした。

定期的に各アプリから CSV をダウンロードし、SharePoint へアップロードする。CSV は一度にまとめて落とせるので、まだいい。問題は大量の添付ファイルでした。

杉村様 「CSV は一括でダウンロードできるからいいんです。でも添付ファイルは1つずつしか落とせない。これがとにかく手間で。まとめてダウンロードできるプラグインも入れてみたんですが、今度はデータが多いぶん時間がかかりすぎるんです。しかも、その間はブラウザもずっと占有されてしまって」

あと、プラグインだと落とした添付ファイルは Zip で固まって出てきます。いざ戻したいとなったとき、目当てのファイルを探し出せるのか——そこにリスクも感じていました。

その添付ファイルの中身は、契約書や領収書といった会社の重要な証跡です。ロストは許されない。重要性は何よりも高いのに、取得の手段は限られ、手間と時間ばかりがかかる。この非対称が、杉村様にとって長く解けない宿題でした。

覚悟を決めて1日仕事となる「バックアップ祭り」

杉村様「毎月やろうと決めてはいたんですが、時間がかかるので、なかなか追いつかないんです。腹をくくって日を決めて、丸一日以上かけてやることもありました」

杉村様の中では、この日を「バックアップ祭り」と呼んでいたそうです。面倒な作業に「祭り」と名前をつけてしまうあたりに、厄介ごともどこか面白がってしまう杉村様らしさがにじみます。

扱うデータの量も、年々増していました。レコードが1万件をゆうに超えるアプリも複数あり、そのレコードには重要な添付ファイルもぶら下がっています。守るべき対象が大きくなるほど、バックアップへの課題意識も強まっていきました。

標準のエクスポート機能の限界

データが大きくなれば、技術的な壁も顔を出します。kintone 標準の CSV 書き出しは、ファイルサイズが 102,400KB(100MB) を超えるとエラーになり、そのままでは書き出せません。

テーブルを含むアプリはサイズが膨らみがちで、杉村様はバックアップ管理アプリに「3万件が上限」とメモを残しながら、件数を区切って取得していました。それでも手は止めません。RPA での自動化にも挑戦します。もっとも、クリックする位置が変わるなどして安定せず、こちらは定着しませんでした。

それでも、当時を振り返る杉村様の口ぶりは、どこか軽やかです。

杉村様:「正直しんどいんですけど、こういうのを何とかするのは、嫌いじゃないんですよ(笑)。きっと、もっといいやり方があるはずだと思っていました」

ぼやきながらも、視線はいつも一歩先へ。「絶対に失えないものを、確実に・無理なく守り続けたい」——使い込んだ kintone だからこそ増していくその重みを、杉村様は厄介ごととしてではなく、解きがいのある宿題として受け止めていました。

解決策:DataSyncer kintone エクスポートで「止めない自動バックアップ」

その宿題を解いたのが、「DataSyncer kintone エクスポート」でした。

杉村様は、70以上のアプリ分のバックアップ設定をデータシンカーに登録し、2つのパターンで運用しています。

  • 毎週の自動取得: 重要なデータは、スケジューラーで毎週バックアップ

  • 年3回の一斉取得: 有効・休止中の設定を切り替えながら、全アプリをまとめて取得

杉村様「重要なデータは毎週スケジューラーで自動的に。それ以外も含めた全体は、年3回、設定を切り替えながら取っています。以前は休止にしておいた設定を切り替えて、Windows のアプリをダブルクリックするだけ。あとは待っていればいいんです」

 一度の起動で、CSV も添付ファイルも共有ディスクへ

「DataSyncer kintone エクスポート」は、一度に5個までのアプリを一括で書き出せます。同時に書き出せる数はライセンス数に応じて増やせますが、杉村様は「これで十分」と、ライセンスは増やさずに設定を切り替えながら運用しています。

杉村様「ライセンスを増やせば、同時に書き出せる数も増やせるんです。でも、休止中の設定を kintone の設定アプリからぽちぽち切り替えれば済むので、いまは手動でやっています。ライセンスを買ってもいいんですけど、これでも十分ラクになってますから」

長年の悩みだった添付ファイルも、CSV と一緒に一度の起動で Windows サーバーの共有ディスクへ落としてくれます。

杉村様「バックアップ祭りが、本当に楽になりました。データシンカーを起動したら、ダウンロード中はほかの作業もできる。以前は70個のアプリから CSV と添付ファイルを落として保存するのに、一日では終わらなかったんです。それが、いまはトータルの作業時間が30分もかからずに終わります」

丸一日の「祭り」が30分弱に変わりました。標準機能の100MB制限も、RPAの不安定さも、もう気にする必要がありません。

一覧の絞り込みと「相対日付」で、必要な分だけ

杉村様が「これは便利」と挙げたのが、取得対象を一覧で絞り込める点でした。すべてを毎回取得するのではなく、特定の期間のデータだけを効率的に書き出せます。

取材の場では、こんなやり取りもありました。

「絞り込みは、日付の絶対値だけでなく、相対値でも指定できますよ。たとえば『今日から60日前まで』のように」

杉村様 「おー、知りませんでした。ありがとうございます……。いままでは一覧を絶対値で設定して、毎回作り直してやっていたんです。これでさらに効率化できますね」

PDF to kintone の経験で導入もスムーズ

導入そのものもすんなりと進みました。中川ケミカルは、すでに「DataSyncer PDF to kintone」を請求書配信で使っていたためです。

杉村様「データシンカーは PDF to kintone で前から使っていて馴染みがあったので、エクスポートも違和感なく、すんなり入れられました」

データシンカーはすべてのシリーズの設定を kintone 上で行うつくりになっています。新しい機能を足しても、設定する場所も操作の作法も変わりません。普段使い慣れた kintone の延長でそのまま扱える構成です。

導入効果まとめ

「DataSyncer kintone エクスポート」の導入により、中川ケミカルのバックアップ業務は次のように変わりました。

表に並べた変化の先にある、いちばんの価値は、バックアップが「仕組み」になったことです。これまでは、決めた頻度を守れるかどうかが、杉村様の頑張り次第でした。いまは、重要データは毎週、全体も年3回と、決めたとおりに自動で回り続けます。契約書や領収書といった失えない証跡を、覚悟の一日仕事に頼らず、確実に守り続けられる——これまで作り上げてきた kintone の足元をを支える土台が整いました。

次のステージへ:FAX の発送依頼を、AI-OCR で送り状データに

取材の終盤、話題は中川ケミカルがいま見据えている次の一手——AI-OCR へと移りました。中川ケミカルには、FAX で届く PDF を保存しているアプリがあります。商品サンプルの依頼が、いまも FAX で飛んでくるためです。

杉村様「サンプルの依頼が FAX で来るんです。その発送先をデータ化できないかと、ずっと考えていました。冬休みの自由研究みたいに AI で試してみたら、Gemini でも読み取り自体は意外といけたんですよ。ただ、kintone とどうつなぐか、そこがどうにも分からなくて」

もし発送先がデータ化できれば、送り状ソフト向けの CSV をそのまま流せるようになります。ここで当社からご紹介したのが、現在リリース準備中の「DataSyncer AI-OCR to kintone」でした。

中川ケミカルの請求帳票は取引先ごとにフォーマットが異なり、その種類は20〜30パターンにのぼります。DataSyncer AI-OCR なら、事前のレイアウト定義が不要。kintone アプリのフィールド定義がそのままテンプレートの役割を果たし、書類から該当項目を抽出して、対応するフィールドへシームレスに連携されます。

さらに、Windows フォルダに出力した PDF を自動でアップロードする部分は、すでに請求書配信で体現済みです。

杉村様「事前の定義がいらないのはありがたいです。これは、ぜひ試してみたいですね」

FAX で届く依頼から、送り状データへ。手作業で読み取って転記していた工程が、現場のフローを変えずにデジタル化できる——そんな絵姿が、取材の場で具体的に共有されました。

※本文中に記載された会社名および製品名は、各社の登録商標または商標です。

AFTER THE INTERVIEW

取材を終えて

二度目の取材は、終始リラックスした空気のなかで進みました。杉村様は社内の困りごとを一つずつ、自分の手で軽くしていく。その作業を、どこか楽しんでいるように見えました。

印象的だったのは、「まずは kintone でどうにかする」という構えです。取引先管理から始まり、名刺、基幹データ、経費申請、請求書配信、そしてアプリそのものを管理するアプリまで。必要が生まれるたびに、既存のツールを柔軟に組み合わせて自社にフィットさせていく。100近くあるアプリは、その積み重ねの結果でした。

そして、使い込んだ末に必ず出てくるのが「バックアップ」という宿題です。絶対に失えない証跡を、覚悟を決めた"祭り"で守るのではなく、ダブルクリックと30分の自動運転で守る。設計や号令ではなく、現場の手触りで仕組みを選び取っていく杉村様の姿勢は、これからの一人情シス・DX 担当者にとって、確かなヒントになるはずです。

「便利にするって、楽しいですよ」——前回も聞いたその一言が、二度目の取材でも、やはり中川ケミカルの DX の核にありました。

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